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サンゴ辞典 2

09-2ミドリイシ属

《生態ーミドリイシ属の世界へようこそ!》
以下、ミドリイシ属の説明を共通で引用しています。

サンゴの王道ミドリイシは枝状又はテーブル状の群体で、色彩も形も多種多様な上に種類が多いのですが、飼育方法が共通している事や学術的には細かく分類されている割には似ている形のものが多い事やハイブリッドも多く存在する事から、流通市場の上ではあまり細かく分類せずに全てまとめて「ミドリイシ」と総称される事が殆どです。

しかし厳密には、「ミドリイシ」いう和名のミドリイシは事実上存在しません。なのでサンゴ辞典ではなるべく分類学上、区別出来るものは全て分けて表示して行きたいと思います(但し、以下の説明ではミドリイシはトゲミドリイシ属及びミドリイシ属を指すものとします)

全体的にポリプは短く小さいのが特徴で「いかにもサンゴらしいサンゴ」というナリをしています。元来とてもポピュラーな本種ですが、自然界でのサンゴ総量の多さとはウラハラに飼育難易度が高いと言われ、事実として販売店ですら設備投資減価償却や維持管理が難しい上での保険代を含めた販売価格になる為、高価なサンゴ種ではあります。

飼育難易度が高いと言われますが、必ずしもそうとは言い切れません。何故なら、小さな破片からでも全体を再生する能力を持っている、ある意味とても丈夫で強いサンゴなのです。

ある程度の設備とそれなりの知識があれば、増やしたり好みのカラーに色揚げする事も難しくはありません。サンゴ辞典的主観ですが、長期飼育はハナガササンゴの方がよほど難しい様に思います。

ちょうど良い比較なのでミドリイシとハナガササンゴの飼育難易度特徴を列挙します。

◎ハナガササンゴ
(1)飼育環境は各群体で様々な上、気に入るレンジ(許容範囲)は狭い。
(2)レンジはシビアだけど、気に入らない環境でも耐久性は半年くらいなら大丈夫。
◎ミドリイシ
(1)飼育環境は各群体で様々。気に入るレンジは広め。
(2)レンジは広めだが、それを少しでも超えると耐久性は無く、すぐに調子を崩して死滅。

ハナガササンゴは個々によっても要求がマチマチでその上うるさく、「まぁいっか」とは、なかなか言ってくれませんが、体内にたっぷりエネルギーを貯め込んでいるので、ある程度の一定期間、耐えてはくれるアリさんイメージ。

対してミドリイシは同じく個々によって要求は色々うるさいのです。「まぁいっか」の範囲はハナガササンゴよりも意外と広いのです。が1ミクロンでも許容範囲を超えてしまうと耐える事をやめてしまい死滅してしまうキリギリスさんイメージ。

これはそれぞれの成長の早さを比較すると納得なのですが、ハナガササンゴを手で持ち上げるとズッシリと重いですよね。これは骨密度が高いせいなのですが
ハナガササンゴはなかなか成長しません。その分丈夫で・ものスゴイ骨太?なコなんです。

対してミドリイシはどうでしょう。ミドリイシは軽く、骨格がもろいのですぐに折れてしまいます。その代わり成長はタケノコの如く早い。だから骨密度は至って低いのは当然なのです。

エネルギーは貯蓄せず、今日生きる(増やす)事だけに生きるのがミドリイシ。
生物の「生きる目的」は種の保存・子孫繁栄な訳ですが、ミドリイシは防御や耐久力よりも成長(増殖)を特化させる事を選んだサンゴ種と云えるかもしれません。

このように(全てに当てはまる訳ではありませんが)サンゴという生き物は
◎骨密度の高い種=防御や耐久性のあるタイプ
◎骨密度が低い種=防御・耐久性はない(弱い)が成長は早いタイプ
に概ね大別出来ます。

この(弱い)を「デリケート」と呼び勘違いが生じるんだと思います。だって、ミドリイシは全然「デリケート」(神経質)なんかじゃありません。自然界では他のサンゴ種に比べて少々の食害や災害があってもへっちゃらなのです。それ以上に成長が早くワサワサ伸びる「アグレッシブなサンゴ」だと云えます。

《飼育》
◎水質
清浄な水に越した事はありません。プロテインスキマーやカルシウムリアクターを設備される事をお勧め致します。ミネラル消費も高めです。また水温は気持ち低めの方が維持し易いように感じます。水温調整・・・サンゴ辞典の飼育水槽は年中、室温管理(ルームエアコンとサーキュレーター)のみです。大きな水槽もあるので、専用のクーラーやヒーター設備よりイニシャル・ランニングともコスパ良しです。
◎照明
エネルギーの大部分を褐虫藻(光合成)に依存しています。太陽光に近い波長と考慮するならメタハラが望ましい、という事になります。メタハラを使用する場合の注意点として巷で理想とされるよりも・・・サンゴ辞典の飼育水槽では、光量は控えめ!Ex.W900mmの水槽でしたら器具のタイプにもよりますが反射板付きメタハラ150w X 1灯でも充分です。また水面〜ランプの発光面は600mm前後は離して設置。この部屋は南向きで大きな掃き出し窓とトップライト(天井にFIX窓)がついている事もあり、1日の点灯時間は4〜6時間までです。照明に限ってはむしろ、たったこれだけで色維持出来ています。光量が多かったり・強いと褐色に色変化します。どうしても多くしたり強くする必要があるなら、水流を強くして生体の表面温度を下げる必要性が生じます。たくさん実験して現時点ではここに落ち着きましたので、ご参考になさってください。
◎水流
ポリプがなびく程度の水流ポンプが複数台、出来ればコントローラーでランダムな水流を作ってあげるのが理想です。
◎給餌
自然界ではプランクトンを捕食します。可能でしたら冷凍プランクトン類を1週間に1度程度給餌。又は天然海水での換水がお勧めです。

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《和名》  ヤスリミドリイシ
《学名》Acropora robusta (Dana,1846)
    アクローポラ・ロブースタ (ダナ,1846)

《分類》刺胞動物門>花虫綱>六放サンゴ亜綱>イシサンゴ目>ムカシサンゴ亜目>ミドリイシ科>ミドリイシ属

《その他の区分》好日性サンゴ・ハードコーラル
《枝径》15~40mm
《生息場所》潮通しの良い礁池内とリーフ外縁・水深2~7m前後

暗緑褐色や褐色の太い枝を持っていて、群体の形状は不規則です。群体の周縁部では横又は斜め向きに分岐しますが、中央部の突出は一部に直立で太い枝となる事もあります。

《特徴》
非常に変体が多い事から、将来的に生物学上の分類が枝分かれするかもしれませんが、現在の所、本種だとされているそれぞれのタイプを同じミドリイシ属のよく似たサンゴ種と比較し、整理します。

yasurimidoriishi_1画像
側生ポリプは色々な大きさや形のものが群体全体をまんべんなく覆って、枝の表面は見るからに「ヤスリ」の如くザラザラしています。

(1)対サンカクミドリイシ
外洋性の浅海に生息する丈夫な骨格を持ちます。サンゴ個体は細長くよく突出しますので、円錐突起だけを持っているサンカクミドリイシとは容易に区別出来ます。波当たりの強い浅海に好んで固着しますが
 ー1 円錐状の突起
 ー2 枝状
の部分があって、その多少で群体によってかなり形が違います。

(2)対トゲマツミドリイシ
 (1)ー2の様に枝上部が発達した群体では、トゲマツミドリイシ(同じミドリイシ属)に最も似ます。しかし、本種の枝は主として水平方向に伸びる傾向にあり、主として枝が上方に伸びるトゲマツミドリイシと区別出来ます。

(3)対エンタクミドリイシ
普通は太い円錐状突起を持つ群体となりますが、稀に幼いエンタクミドリイシの群体の様な形状になる事もあります。主枝は側方へ枝分かれしながら伸びて行きますが、各主枝はよく癒着(ゆちゃく)し、非常に頑丈な平板状の腕となります。この頃になると、群体上面には低い円錐状の非常に不鮮明な末端枝がある他は、上方に伸びる枝はなくなります。又この時、通常の群体は側サンゴ体がササクレ状になるのと違って、肉厚で丸く円筒状なる傾向にあります。

サンゴ礁の礁縁部では干出する事もあります。比較的潮通しの良い礁縁部に生息しますが、数は多くありません。イシガキスズメダイがなわばりとして利用します。



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《和名》 クシハダミドリイシ
《学名》Acropora hyacinthus  (Dana,1846)
    アクローポラ・イーエキントゥス (ダナ,1846)

《分類》刺胞動物門>花虫綱>六放サンゴ亜綱>イシサンゴ目>ムカシサンゴ亜目>ミドリイシ科>ミドリイシ属

《その他の区分》好日性サンゴ・ハードコーラル
《枝径》3~5mm
《生息場所》礁池内~リーフ外縁・水深1~10m前後

kushihada_0.jpg
自然界では、巨大なテーブルそのものは薄く群体中央部から更に突出した
小型のテーブルが、2段以上に重なる事も多く見られます。画像のものはサンカクミドリイシが同居していますね。

《特徴》
波当たりの強いリーフ外縁(がいえん)では、基底(きてい)はよく癒合(ゆごう)し、板状になる傾向がありますが、波の穏やかな礁池(しょうち)内では基底は細い枝が網目状に絡まった繊細な群体になります。

一般に「テーブルサンゴ」・「シバミドリイシ」と呼ばれ、これは本種の異名です。また、慣習上、本種を含めた円盤状のミドリイシ属を総称して「エンタクミドリイシ」と呼ぶ場合が多いようですが、厳密には「エンタク」は形状の事では無く、ミドリイシ属に属するサンゴ種であって和名として存在し、水槽で飼育出来る程度の大きさで完全な円盤状になる事は極めて稀です。

自然界では、リーフ外縁でテーブル状群落を作る最も目に付くミドリイシ種です。緑褐色或いは褐色のテーブル状の群体で、直径2mを越すものもあります。
上面に長さ1cmほどの細い円筒状の末端枝が林立ちます。非常に細い主枝が枝分かれしたり、互いに癒合したりしながら平面状の基底を作ります。

基部は太くて、中央部又は側部から基盤に固着します。横又は斜め上に伸びる細い枝が多数癒合(ゆごう)して網目状になり、それから上方向に伸びる細く短い多数の直立枝がある程度整然と等間隔で並びます。また、テーブル状の周縁は別色か淡くなる傾向にあります。

ちなみに学名の種小名「hyacinthus」は日本語で「青」という意味だそうです。う〜ん、そう言われると見えなくもないですが・・・どうでしょう?

頂端(ちょうたん)ポリプは短く、その周りに整然と配列する側生ポリプの下唇が張り出している為、ロゼット状になります。ロゼットとはもともとバラの花に由来する言葉で、八重咲きのバラの花びらのような配列を現します。ロゼット型植物は根から生えた葉を少しずつずらして付ける事により光を効率良く受け取る事が目的であると云われています。


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《学名》Acropora polymorpha (Brook, 1891)
アクローポラ・ポーリムォロファ (ブルック,1891)
《分類》刺胞動物門>花虫綱>六放サンゴ亜綱>イシサンゴ目>ムカシサンゴ亜目>ミドリイシ科>ミドリイシ属

《その他の区分》好日性サンゴ・ハードコーラル
《枝径》10~15mm
《生息場所》リーフ内~外縁・水深1~10m

枝先がよく分岐する群体は波当たりの強い浅い場所に棲息していた事を意味します。

《特徴》
本種の特徴は枝先で分岐が起こり、一つの枝にいくつもの登頂体がある。という事です。枝先の分岐は多少、波の強さに影響されます。激しい分岐をするものはリーフ外縁の最も波当たりの強い浅い所で見つかります。波のやや弱い場所では枝先の分岐もあまり見られません。

分岐が少ないとオヤユビミドリイシやコユビミドリイシにやや似ますが、側サンゴ体に比べ登頂体がはるかに大きなこれらのミドリイシとは区別出来ます。

一見、リスターミドリイシにも似ますが、リスターミドリイシは被覆部がよく目立ち枝と枝が極端に離れている事・また被覆部の莢が目立って突出する事で区別がつきます。

尚、本種は2015年1月現在、BISMaLでは標準和名の登録がありませんでした。そこでサンゴ辞典では、従来より標準和名以外の名称とされておりました「タバネミドリイシ」を暫定的に和名として表記してあります。ご了承ください。

画像のように本種の側莢の形状は筒状突起が目立ちます。


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